火災発報後の自火報復旧作業完全ガイド

目次

そもそも「自火報」って何?

自動火災報知設備(自火報) とは、煙や熱を自動的に検知して建物全体に警報を鳴らす消防設備のことです。主に以下の機器で構成されています。

機器名役割
感知器煙・熱を自動で検知してベルを鳴らす信号を送る
発信機(押しボタン)人が手動で押して火災を知らせる赤いボタン
受信機感知器・発信機からの信号を受け取り、火災の場所を表示する親機
地区音響装置(ベル)建物内に取り付けられた警報ベル

大前提:まず「本当に火災かどうか」を確認する

絶対にここを飛ばさないでください!

ベルが鳴っても誤作動(非火災報)の場合があります。

しかし、本当に火事である可能性もゼロではありません

復旧作業よりも先に、現地を目で見て火災でないことを確認するのが大原則です。

🔴 火災を確認した場合は…

  1. すぐに 119番通報
  2. 初期消火(消火器で対応できる範囲なら)
  3. 安全な場所へ避難

火災でないことを確認できた場合のみ、以下の復旧作業に進みます。

STEP 1|まず「音」を止める

現地確認に行く前後、または確認のために移動中にベルがうるさくて困る場合は、まず音を止めましょう。

ただし、この時点ではまだ「復旧ボタン」は押さないでください(復旧ボタンを先に押してしまうと、誤作動の原因が分からなくなってしまいます。)

受信機での操作手順(音の停止)

① 受信機の「主音響停止ボタン」を押す
   → 受信機本体のブザー音が止まる

② 受信機の「地区音響停止ボタン」を押す
   (機種によってはスイッチを下げる)
   → 建物各所のベルが止まる

💡 ポイント

最新機種は地区音響を止めても、受信機の地区窓が点灯中であれば一定時間後にベルが再鳴動する仕様になっているものがあります。早めに原因を特定しましょう。

地区音響(火災ベル)の再鳴動義務化は、平成9年(1997年)の消防法改正により導入されました。

地区音響停止スイッチを押しても、一定時間(2〜8分程度)後に自動で警報が再開する機能です。

火災の誤検知時の一時停止中、実際の火災を見逃すリスクを避けるための必須機能です。

STEP 2|受信機の「地区表示(地区窓)」で発報エリアを確認する

受信機の正面には、どのエリアが発報しているかを示す地区表示灯(地区窓)があります。ここが点灯していれば、その区画で何かが反応しています。

受信機の地区表示 → 点灯しているエリアを確認
           ↓
そのエリアへ移動して現地確認
(消火器を持って行くと、万が一の際にすぐ対応できます)

STEP 3|現地確認:発信機 or 感知器、どちらが原因?

現地に到着したら、まず発信機感知器のどちらが原因かを特定します。

▶ ケース①:発信機(赤いボタン)が押されている場合

受信機の「発信機ランプ」が点灯していれば、どこかの発信機が押されています。発信機が押されたままだと、信号が送られ続けるため受信機で復旧操作ができません。

確認ポイント

  • 発信機のボタン中央部が「へこんでいる」
  • 機種によっては赤いランプが点灯している

発信機の復旧方法

① 発信機のカバーを開ける
② 中の押しボタンを手前に引っ張り出して元に戻す
  (機種によってはカバーなしで操作できるものや、
   ボタン上の「復旧スイッチ」を切り替えるものもある)
③ ボタンが正常な位置に戻ったことを確認する

🔴 注意:屋内消火栓が設置されている建物では、発信機を押すと消火ポンプが自動起動します。後でポンプの停止操作も必要になります。

▶ ケース②:感知器が作動している場合

感知器には大きく分けて「煙感知器」と「熱感知器」の2種類があります。

感知器の種類作動確認灯の特徴
煙感知器(光電式)受信機で復旧操作をしない限り、赤い確認灯が点灯し続ける → 誤作動感知器の特定がしやすい
熱感知器(差動式・定温式)熱がなくなると確認灯が自動的に消灯してしまう → 誤作動感知器の特定が難しい

💡 熱感知器は、原因となった熱が消えると確認灯も消えてしまうため、「どの感知器が誤作動したか」の特定が非常に困難になります。 これが、誤作動対応の難しさの一つです。

誤作動の主な原因として、以下が考えられます。

  • 調理の煙・湯気が感知器に届いた
  • タバコの煙
  • 経年劣化による機器の故障
  • 結露(冬場に特に多い)
  • 感知器への衝撃

STEP 4|受信機で「復旧操作」を行う

発信機が原因の場合は発信機を元の状態に戻してから、感知器が原因の場合はそのまま、受信機で復旧操作を行います。

受信機の復旧手順

① 受信機の「復旧ボタン」を押す
   (機種によっては「復旧スイッチ」をツメで切り替える)
          ↓
② 発報していた地区窓(表示灯)が消灯したか確認する
          ↓
③ 消灯したら → STEP1で停止させた「音響スイッチ」を
   元の位置に戻す(停止を解除する)
          ↓
④ 復旧完了 ✅

⚠️ 重要:STEP1で止めた「音響停止スイッチ」を元に戻し忘れないこと! 停止したままにしておくと、次に本当に火災が起きたときにベルが鳴らず、大きな事故につながります。

消火栓ポンプが起動していた場合の追加手順

発信機が原因で消火ポンプが起動していた場合は、受信機の復旧後に消火ポンプ室内のポンプ制御盤でポンプ停止ボタンを押す必要があります。

受信機の復旧完了
    ↓
消火ポンプ室へ移動
    ↓
ポンプ制御盤の「ポンプ停止ボタン」を押す
    ↓
全て完了 ✅

復旧ボタンを押しても地区窓が消灯しない場合

復旧操作をしても発報表示が消えない場合、以下を確認してください。

📍 チェック①:発信機ランプが点灯していないか?
   → まだどこかに押されたままの発信機がある
   → 現地を再確認して発信機を元に戻してから再度復旧操作

📍 チェック②:発信機ランプも消えているのに復旧しない
   → 感知器自体が故障している可能性が高い
   → 消防設備士に連絡して早急に交換・調査を依頼

🛠️ 消防設備士または管理会社への連絡を!
自力での復旧が難しい場合や、原因不明の誤作動が繰り返す場合は、専門家による調査が必要です。誤作動を放置・慢性化させると、本当の火災時に誤った操作をしてしまう危険があります。

復旧作業の全体フロー(まとめ)

🔔 ベルが鳴った!
    ↓
【最優先】現地へ行き、火災かどうかを目視で確認
    ↓
🔴 火災だった        ✅ 火災でなかった
 → 119番!           → 復旧作業へ
 → 避難!                ↓
                    受信機で地区表示を確認(どこが発報?)
                         ↓
                    受信機の「主音響」「地区音響」を停止
                    ※ この時点では復旧ボタンは押さない!
                         ↓
                    発報エリアへ行き原因を特定
                    ・発信機が押されていないか?
                    ・感知器の確認灯は点いていないか?
                         ↓
                    発信機が原因 → 発信機を元に戻す
                    感知器が原因 → そのまま次へ
                         ↓
                    受信機の「復旧ボタン」を押す
                         ↓
                    地区窓が消灯したか確認
                    ↓消灯した         ↓消灯しない
                 音響スイッチを     消防設備士に
                 元の位置に戻す     連絡・調査依頼
                    ↓
                 復旧完了 ✅

よくある失敗パターン(注意!)

よくある失敗何が問題?
音を止めたくて最初に「復旧ボタン」を押してしまう誤作動の原因が特定できなくなる
発信機を元に戻す前に受信機で復旧しようとする信号が入りっぱなしで復旧できない
音響停止スイッチを元に戻し忘れる次の火災時にベルが鳴らない!
復旧完了と思って消火ポンプを止め忘れるポンプが空回りして故障の原因に
誤作動が続くのに専門家に依頼しない感知器・配線の劣化が進む、本火災時の誤操作リスク

困ったときの判断基準

  • 自力で復旧できた・原因がわかった
    → 定期点検で消防設備士に報告する
  • 復旧できない・原因不明
    → すぐに消防設備士または管理会社へ連絡
  • 誤作動が何度も繰り返す
    → 感知器や配線の劣化が疑われる → 早急に専門家へ
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