🏠 そもそも「受信機」って何?
自動火災報知設備(自火報)は、建物の中に張り巡らせた感知器・発信機・音響装置・受信機などが連携して火災を検知・報知するシステムです。
その中で受信機は、まさに「建物の防災センター」的な存在です。
感知器が火事を検知すると、その信号を受け取って「どこで火事が起きたか」を表示し、ベルや音声アラームを鳴らす司令塔の役割を担います。
受信機は「守衛室」「防災センター」「中央管理室」など、常時人がいる場所への設置が基本です。
受信機には大きく分けて P型 と R型 の2種類があります。簡単に言うと、「どのくらい精密に火災場所を特定できるか」という点で大きな違いがあります。
P型受信機とは

名前の由来
P型の「P」は「Proprietary(プロプライエタリ)」、つまり「専用・私設」という英語が由来です。
どんな仕組み?
P型の仕組みは非常にシンプルです。
建物を「警戒区域」というエリアに分け、各エリアに1本の専用回線を引きます。
たとえば10個の警戒区域がある建物なら、受信機から10本の回線が出ていることになります。
ある警戒区域の回線上でどれかの感知器が作動すると、その回線に電流が流れ、受信機の「地区灯(ランプ)」が点灯して「この警戒区域で火事が起きた!」と知らせます。

発報回路1番「1階」で火災発報があると、該当する警戒区域1階のどこかの感知器が火災発報(誤発報の可能性も有)しています。
ですが、P型受信機の場合、現地確認しないと1階のどこの感知器が発報しているかはわかりません。
🏫 わかりやすい例え
学校の先生が「3年1組で問題が起きました!」と報告するようなイメージです。
どのクラス(警戒区域)で問題が起きたかはわかるけれど、クラスの中のどの生徒(感知器)が原因かまではわからないのがP型です。
また、回線の末端には必ず「終端抵抗」という小さな部品が取り付けられています。
これは配線が断線していないかを常時監視するためのもので、断線すると受信機が異常を検知する仕組みです。
P型受信機の「1級・2級・3級」の違い
P型にはさらに以下の3種類があり、建物の規模によって使い分けます。
| 種別 | 対応回線数 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| P型1級 | 6回線以上〜100回線超も可能 | 中規模〜大規模な建物 |
| P型2級 | 5回線以下 | 小規模な事務所・アパートなど |
| P型3級 | 1回線のみ | 共同住宅の住戸内など超小規模 |
P型3級は火災表示の保持機能すら不要とされており、機能は最もシンプルです。共同住宅の高機能インターホンに内蔵されているケースもあります。
P型のメリット・デメリット
✅ メリット
- 受信機本体の価格がR型よりも安価
- 仕組みがシンプルで扱いやすい
- 建物規模に合わせて1級・2級・3級と選べる
❌ デメリット
- 特定できるのは「警戒区域単位」まで
→どの感知器が鳴っているか個別にはわからない - 警戒区域が増えるほど配線本数が増えて施工費が上がる
- 回線数の上限を超えると受信機本体の交換が必要になる
R型受信機とは

名前の由来
R型の「R」は「Record(記録)」が由来です。
その名の通り、火災状況の詳細な記録・ログ管理に優れています。
どんな仕組み?
R型では、感知器一つひとつに固有のアドレス(番号)が割り振られています。
感知器が作動すると、「アドレス〇〇番の感知器が発報しました」というデジタル信号を中継器経由で受信機に送信します。
受信機側では、その信号を解読してどのフロアのどの部屋のどの感知器が鳴ったかを液晶ディスプレイにリアルタイムで表示できます。

R型受信機の場合、モニターを確認すればどこの感知器が発報しているのかすぐに確認することができます。
上記の例だと、3階多目的ホールの02番感知器が発報していることがわかります。
P型受信機の場合だと3階のどこの感知器が発報しているのかは、3階の感知器を1つ1つ確認しないとわかりません。
🏫 わかりやすい例え
P型が「3年1組で問題が起きた!」という報告だとすると、R型は「3年1組の田中くん(席番015)が問題を起こしました」と個人までピンポイントで報告できるイメージです。
また、R型の名前の由来通り、警報履歴・状態変化のログが記録・印刷できる機能も標準的に備わっています。大規模施設での管理に非常に便利です。
配線方式もP型とは異なり、感知器のデジタル信号を共通の伝送線1本に集約して送る方式のため、警戒区域が増えても配線が比例して増えることがなく、スッキリした施工が可能です。
R型のメリット・デメリット
✅ メリット
- どの感知器が発報したかをピンポイントで特定できる
- 伝送線を集約できるため大規模建物での配線施工費を削減できる
- 間仕切り変更・レイアウト変更に対応しやすい
- 火災履歴・警報ログの記録・管理が充実
❌ デメリット
- 受信機本体の価格がP型よりも高い
- システムが複雑なため、設計・施工に専門的な知識が必要
📊 P型 vs R型 まとめ比較表
| 比較項目 | 🅿️ P型受信機 | 🔴 R型受信機 |
|---|---|---|
| 名前の由来 | Proprietary(専用) | Record(記録) |
| 発報の特定範囲 | 警戒区域単位まで | 感知器1個単位でピンポイント |
| 表示方法 | 地区灯(ランプ)が点滅 | 液晶ディスプレイに詳細表示 |
| 配線方式 | 区域ごとに専用回線(区域が増えると本数増) | 共通伝送線に集約(スッキリ) |
| 本体コスト | 💰 安い | 💰💰 高い |
| 配線施工コスト | 規模が大きいほど高くなりがち | 大規模ほどコスト優位 |
| ログ・記録機能 | 基本的に簡易 | 充実 |
| 向いている建物規模 | 小〜中規模(〜10,000㎡程度) | 大規模(10,000㎡超を目安) |
| 代表的な設置例 | 中小ビル・事務所・アパート | 大型ホテル・病院・大規模商業施設 |
🏢 どっちを選べばいい?
設置建物の規模と予算によって選ぶのが基本です。
👉 P型が向いているケース
小〜中規模のビルや事務所・集合住宅で、コストを抑えたい場合に最適です。シンプルな仕組みで運用しやすく、消防設備の経験が浅い担当者でも扱いやすいのが魅力です。
👉 R型が向いているケース
延べ面積10,000㎡を超えるような大型ビル・ホテル・病院・商業施設など、感知器の数が膨大になる建物では、R型のほうが配線工事費を抑えられることが多いです。また火災場所を即座にピンポイントで把握できるため、大規模避難誘導が求められる施設には特に適しています。
自火報の受信機は、建物の「防災の司令塔」です。P型はシンプルで導入しやすく、R型は高精度で大規模施設向け。それぞれの特性を理解して、適切な設備選定・点検に役立てましょう!

コメント